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【所長日記】トンでも清掃工場に腰を抜かす ~練馬清掃工場の真逆~

みどりのまちづくりセンター所長小場瀬令二 みどりのまちづくりセンター所長 小場瀬令二 2016.11.14

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<初めて知ったり驚いたりで小学生気分>
 昨年11月に練馬清掃工場(4代目)が竣工した。たまたま機会があり、見学できることになった。ちょっと小学生になった気分で心躍る。この工場は、東京二十三区清掃一部事業組合が工事を担当し、完成後も管理運営している最先端清掃工場である。見学して初めて知ったり驚いたことも多い。この工場は何しろ5年もかけて建設された。公害対策なども現在考えられる最高水準の工場である。臭いも出ないように、工場内を負圧力にしたり、清掃車も簡単に清掃できるようになっている。また、外観も写真で見るように素晴らしい。この工場の周辺には戸建住宅が迫っている。区民の目も厳しいこともあり、このようなデザインになったのではないかと思われる。

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練馬清掃工場。公害対策も万全で、高品質で気品のある外観が特徴である

<練馬の清掃工場の真逆を探す>
 世の中には、清掃工場のプラントを単純に囲っただけの建物も多い中、目を引く清掃工場がないものかと、いろいろ探してみた。その中で、何と言っても断トツのデザインは、フンデルトヴァッサーがデザインした大阪市環境事業局が整備した舞洲(まいしま)清掃工場であろう。フンデルトヴァッサーといえば、オーストリア首都のウィーン市内のヴァッサーハウス[1986年建設]が有名である。この方の雰囲気は、肖像のスケッチで見るように、一見サンタクロースさん風であるが、建築デザインでは、腰を抜かす作品で世間をアッと言わせている。私もいくつかの作品を雑誌で見て、「まさか本当にこんな作品が現実にあるはずがない」と思っていた。一言で言えば「アンビリーバブル!」といった感じだ。半信半疑で建物を実際に見学にも行ったが、雑誌に掲載された建物が、現に建っており、多くの利用者に喜びを持って受け入れられているようであった。

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フンデルトヴァッサー/1928生まれ、2000年に他界。自然を愛し、「直線を拒否」し、カラフルなデザインに取組んだ。


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フンデルトヴァッサー・ハウス(ウィキペディアより)
(1977年に当時のウィーン市長からフンデルトヴァッサーは自然と共生する公共住宅の建設を依頼された。いろいろな困難を乗り越えて9年かけて、フンデルトヴァッサー・ハウスが完成した。専門家の中には悪趣味だという意見もあったが、入居希望者が殺到し、大評判となった。また、ウィーンの観光スポットとしても有名である。)

<大阪市の担当者の顔を見たい>
 彼は画家であるのだが、その才能を建物というキャンバスでも花開かせたといわれている。ウィーンでも清掃工場をヴァッサーがデザインして(1991年竣工)、ウィーンの落ち着いた景観の中にショックを与えている。これを気に入ったのか、大阪市は清掃工場のデザイナをヴァッサーに依頼した。(何と勇気のある役所でしょうか?!)その建設場所は、大阪湾内の埋め立て地で、例のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの隣地である。埋め立て地の殺伐とした感じの中でヴァッサーのデザインは異光を放っている。ヴァッサーがデザインした清掃工場は世界に2つだけで、その一つが日本にあることになる。事業費約609億円、デザイン料約6600万円をかけ、特にこのデザインのために建設費が倍になったということもないそうである。外観のド派手さだけではなく内部にも手を抜いていない。何しろ、この工場には最新の高性能焼却炉が据え付けられていて、ダイオキシンも発生させる隙を与えない超高熱で不燃物も可燃物も無差別焼却している。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行くつもりが、間違えてこちらの清掃工場に来る人もいるそうである。是非、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行く時に、ついでに腰を抜かしかねない工場を訪ねたら「一生の思い出」になること請け合いである。

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ド派手な大阪市の舞洲清掃工場(2001年完成)
フンデルトヴァッサー(ウィキペディア)

<堅実なデザインで練馬はよかったか、つまらなかったか>
 自然を愛した彼は、建築でも自然への回帰を唱え、曲線を多用した独自の様式を編み出した。
これに比較すると練馬の清掃工場は煙突がなければ、高級オフィスか最先端研究所に見間違えられそうなぐらい高品質な感じである。どちらのデザインが良いとは簡単には言えないが、周辺の環境と調和したり、刺激を与えたりするのが、デザインである。ヴァッサーのデザインは、うまくはまれば、人々に非常なインパクトを与え、そうでなければ、とんでもないことになってしまう。その点、練馬の清掃工場は堅実なデザインを採用し、周辺の住民から批判されることもなく、長く区民に愛されるかもしれないが、「一生の思い出」にはならないかもしれない。