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【所長日記】パンに関する考現学  ―クリスピーな食感を感じるー

みどりのまちづくりセンター所長小場瀬令二 みどりのまちづくりセンター所長 小場瀬令二 2017.3.3

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<江古田をはさもう!えこだパンさんぽ2017・春>
 2月25日(土)から3月4日(土)にかけて、西武池袋線江古田駅周辺で、「えこだパンさんぽ」が開催されている。地元のパン屋さんを初め、商店街、西武鉄道、地元の芸術活動家等ともタッグを組んで、みどりのまちづくセンターもお手伝いをしている。昨年も同じような時期に開催されたが、その第2弾。パンさんぽの詳細は、みどりのまちづくりセンターのホームページやチラシなどをご覧になって、お祭りに参加して、街中の小麦粉の香りを楽しんでいただけたら幸いである。そこで、パンについて今日的な考察してみた。

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みどりのまちづくりセンターHPより(http://nerimachi.jp/

<パン屋さんの数>
 パンは大きく分けると、発酵のために、酵母を入れるものと、入れないものにまずは分けられる。どのような酵母を入れるかで、味が変わり、それぞれパン屋さんごとの味わいや職人のこだわりになったりする。パン屋さんの人口10万人当たりの数では、2012年では愛媛県が一番で、その周辺県がパン屋さんの数が多い。パン屋さんの数と年間晴れ日数や年間真夏日数と正の相関が高く、晴れの日が多く暖かい地方にパン屋が多い。パンを買いに行く時は、晴れで暖かい日が良いという、日和見的な人間がパンを愛しているのかもしれないが、良くわからない。
逆に、パン屋さんの数が少ないのは、秋田県など東北地方の県である。パン屋さんの数と、パンの消費量の間にも多少相関があり、東北地方のパン屋さんの数が少ないのは、米どころの地域のために、お米が主食で、食生活が西欧化していないということかもしれない。愛国主義的食文化人が多いことになる。

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都道府県別統計とランキングで見る県民性(http://todo-ran.com/t/kiji/21116

<色々なパンがありますが>
 ところで、毎日365日同じ品質のパンを大量に作るのは難しく、日本の大手の製パン会社がそれを可能にする技術を持っているということは、画期的なことらしい。日本の食パンと似ているパンは、イギリスパンである。ただ、日本の食パンは6面とも焼かれているが、イギリスパンは6面の内1面が盛り上がっている。これは焼く時に、蓋をして焼く日本の食パンは6面とも焼いてあるが、蓋をしないで焼くイギリスパンでは、1面が盛り上がって仕上がるという按配のようである。食パンはきめの細かさともちもち感をめざし、イギリスパンは空気がたくさん入るパンをめざしている。バゲットを大いに食べるフランス人からすると、「日本の食パンみたいなフニャフニャしたパンは、パンではない」と印象を持っているそうである。フランス人はパンに「クリスピー」な食感、かすかに漂う焦げた香り、中の白い部分との食感の対比が大事らしい。このため、パン焼きの時の薪の種類なども凝りだせばきりがないそうである。

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 パン屋さんは色々凝れば、他との違いが出せる商売ということで、小売業としては比較的大手スーパーに食われにくい業種なのかもしれないと思ったが、世の中そう甘くない。パン屋さんの販売額は下がつづけ、2003年に4222億円だったのが、2007年には3972億円に減少。店舗数も1万1744店舗から1万1344店舗に減少している。パン屋さんの出店数は伸びているが、それ以上に全国のパン屋さんの数の絶対量が減っているということで、新しいパン屋が開店する以上に、古いパン屋が閉店していることになる。パン消費支出は余り変わっていないそうなので、「ホームベーカリ」ブームや、パンの小売単価の値上げが関係しているかもしれない。

<パン屋さんの技術革新>
 パン屋さんの業態はこの何年かで日本でも大きく変わった。まずは、焼きあがったパンをただ売るだけのパン屋さんもある。次に、冷凍技術の向上で、生地メーカーから冷凍生地を仕入れて、店で最終発酵させてパンを焼くというパン屋さんもある(=ベイクオフ・ベーカリーと言う)。冷凍で輸送するのが大変なので、パン生地を8割がた焼いて、常温で輸送し、残りの2割を店で焼くという方法もある(=ブラウンサーブ・ベーカリーと言う)。このブラウンサーブのパンをお店で買って、家のオーブントースターで最後の焼きを入れて食べると、まさしく焼きたてパンが家で食べられることになる。また、当然のことながら、完全にパン屋さんの中で、すべて作ることもあります(=リテール・ベーカリーとかスクラッチ・ベーカリーと言う)。手間が色々かかるので、大変のようですが、やはりそれだけのことはありそうだ。

<日本人には分からないクリスピーな食感?!>
 日本人は、「うまみ」という味わいが重要だが、ヨーロッパ人には「クリスピーな食感」が非常に重要らしい。クリスピーとは、秋や冬の朝の空気がパリッとして爽やかな感じだそうである。この「クリスピー」を標榜しているスナックなどは、日本でも幾つか売り出されている。日本人でも味に詳しい方は分かっていて、知らなかったのは私だけかもしれない。ドイツではプレッツェルが代表的なパンである。ドイツのプレッツェルはパンの内部も固めだが、アメリカのプレッツェルは内部はやわらかいそうである(理由は不明)。このプレッツェルとは「腕」という意味で、人が腕組みしている様をパンにしたらしい。さすが「哲学」が好きなお国柄である。ところで、日本ではご飯が主食であり、パンは副食という意味合いが強かったことから、菓子パンが大きな意味合いを持っていた。菓子パンの場合は、食感や香り、味も重要だが、食べた満腹感、冷たくなっても中身とパンの間に空間が出来ないといったことも重要らしい。アンパンの元祖で有名な銀座木村屋総本店も、アンパンやジャムパンなどの菓子パンなどでも有名である。

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 さて、「江古田をはさもう!えこだパンさんぽ2017・春」で色々なパン屋さんの色々なパンを味わっていただけたら幸いである。パン屋さんの店頭なり、カウンターで、食パンのフニャフニャした食感や、フランス人好みのクリスピーな食感を楽しむのもよい。かすかに漂う焦げた香りなどを堪能するのもよいだろう。その焦げた香りの元が、栗の木なのか、欅の木なのか、檜なのか、杉なのかを想像してもらいたい。パンなら何でもよいとは言わずに、お店ごとの職人さんの腕自慢を味わってほしい。お店屋さんと話して、この店はどんなイーストを使っているのか、小麦粉は、焼く時の工夫など、お話をしてみるのも面白いかもしれませんね。

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「江古田をはさもう!えこだパンさんぽ2017・春」だけでなく、「とにかく江古田!PROJECT」をお見逃しなく!(【公式HP】https://tonikakuekoda.jimdo.com/

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