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【所長日記】森でタンポポコーヒーを楽しむ  ―薀蓄(うんちく)を傾けるー

みどりのまちづくりセンター所長小場瀬令二 みどりのまちづくりセンター所長 小場瀬令二 2017.4.13

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 先日「南高松憩いの森」で、「森もりファンクラブ」が開催された。この「森もりファンクラブ」とは、憩いの森を楽しみながら、区民で手入れをするというクラブである。区内には45か所の「憩いの森(敷地1000㎡以上)」や「街角の森(敷地300㎡以上~1000㎡未満)」があるにもかかわらず、必ずしもうまく利用されていないのが実情である。日頃から手入れをしていないと、樹木も草もすぐぼうぼうになり、暗い緑地になってしまう。そこで、ボランティアの方に憩いの森を区民の手で多少なりとも手入れをしていただきながら、森のある生活を楽しむのが「森もりファンクラブ」である(無論誰でも参加可能だ)。

<森を楽しむ>
 3月5日(日)に開催された「森もりファンクラブ」では、静かな森の空気の中で詩の朗読を聞いたり、音楽に耳を傾けたりに加えて、タンポポコーヒーの味を楽しんだ。このタンポポコーヒーの味がまろやかで美味しい。普通のコーヒーと異なり、カフェインが入っていない。このため不眠症の方や子供、妊産婦などカフェインが苦手な人でもOKである。また二日酔いにもよいとのことなので、アルコールを飲みすぎた後にも役立つ。道端に生えているタンポポからコーヒーが作れるならば、お金が掛らず、健康にもよいということで、持ってこいのコーヒーである。さっそく、ただでコーヒーを飲む方法を研究してみた。
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静かな森の時が流れる中、朗読をされる絵本作家の大川久乃さんと音楽家の坂東美佳さん

<タンポポコーヒーの造り方>
 手順は以下の通りだ。タンポポの根っこを掘りだして⇒水洗いして⇒2cm程度に切って⇒水にさらして灰汁抜きをして⇒さらに細かく刻む⇒これを天日に干すなり電子レンジで乾燥させて⇒さらにフライパンで強く焙煎する⇒コーヒーミルで粉にして⇒ドリップでコーヒー入れて飲む。(タンポポコーヒーの造り方、実際のタンポポの根の採取から、コーヒーを入れるところまでまちづくり活動をされている「自然工房めばえ」の海野さんのご指導を頂いた。)普通のコーヒーはインスタントならば、ただコップに粉とお湯を注ぐだけ。他の入れ方でも、基本はコーヒー豆を挽いたものにお湯を注いで、コーヒーを飲むので、随分タンポポコーヒーは手間暇がかかる感じだが、その分味わいがあるということだ。何しろタダで美味しくて健康的なコーヒーを飲むのだから、手間暇は惜しんではいられない。

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<普通のコーヒーも十分手間暇がかかっている>
 タンポポコーヒーだけが手間暇がかかっているのかと思いきや、一般に飲まれているコーヒーも一般の消費者に届くまでには、かなりのプロセスがある。栽培されたコーヒー豆を収穫する⇒精製(果肉の除去、発酵、水洗い、天日干し、等々の過程を経て、生豆が出来てくる)⇒焙煎⇒粉にする⇒コーヒーを色々な方法で抽出して入れるとなる。図説コーヒー(河出書房新社/UCCコーヒー博物館著)によれば、1本のコーヒーの木から、3kgのコーヒー豆が収穫され⇒500gの生豆が精製され⇒400gの焙煎豆が出来る⇒そこから40杯分のコーヒーしか取れない。一人の人間が、毎日コーヒーを1杯飲むとすると、1年間で365杯飲むことになるので、約9本の木が必要と言うことになる。そこで、コーヒーの値段を考えてみると、とりあえず宅配のアマゾンでコーヒーの豆1㎏を購入すると、1200円から2000円である。1杯に10gの粉を使うとすると、コーヒー1杯分のコーヒーの粉代は12円から20円という計算になる。何とも、非常に安い。また、喫茶店でコーヒーを飲むと、1杯500円程度する。と言うことは、喫茶店のコーヒーは、それに付加されるサービス料金を飲んでいることになる。ただ、このサービスの質と量が、コーヒーの味に反映し、スターバックスのような人気喫茶店が世界中の街角に立地することになるのだ。

<タンポポコーヒーも購入することは可能である>
 さらに、何でも宅配してくれるアマゾンを調べてみると、タンポポコーヒーも購入可能であることが分かった。値段を調べてみると、1杯で粉代は45円程度となる。やはり一般のコーヒーよりは2~4倍程度の値段となり、一般には流通しにくいことが分かる。

<タンポポコーヒーが必要される場所と時があった>
 タンポポコーヒーが必要とされることがある。コーヒーが手に入らなくなった時である。日本でも第2次世界大戦で世界中を敵に回して戦っている時は、石油ばかりかコーヒーも手に入らず、タンポポコーヒーなどの代用コーヒーが役に立った。歴史的に有名な普通のコーヒー不足は以下の時代にあった。一つには、18世紀の半ば、プロイセン王フリードリッヒ大王は、彼の治世下に於いて嗜好飲料としてコーヒーが広まり、それによってコーヒーの輸入による貿易赤字の増大や国内のビール産業への打撃を生んだ。強い軍隊を作ろうとしていた大王は、1777年にコーヒー・ビール条例を出してコーヒーに高率の関税を課した。これを切っ掛けとして、それまでコーヒーに親しんでいた庶民は代用コーヒーを飲用することになった。ビール産業の奨励を図った王は、朝はコーヒーで目覚めるより、ビールで目覚めるほうがよい、と発言している。
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 この他に、1806年のナポレオンの大陸経済封鎖の時も、ヨーロッパ本土ではコーヒー不足に陥った。また、南北戦争中の米国や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。
 代用コーヒーの原料としてはタンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、アーモンド、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、根セロリ、パンの耳、綿の種子、オクラの種子などである。これらの中で、無料で入手できそうなものは幾つかあるが、タンポポの根はコーヒーの粉にするまで、比較的手間暇がかかる方かもしれない。代用コーヒーはあくまで代用品として考案されたものなので、コーヒーの安定供給が続いている地域・時代ではその消費量は少ない。先述の通り、価格については代用ではあるものの、普通のコーヒーよりもかなり高額な場合が多い。そこで、普通のコーヒーに代用品が対抗していくのは、このグローバル時代の経済システムとしては難しそうである。また、トランプ大統領のような人が出てきて、輸出入禁止措置などで、代用コーヒーが必要となることが起こるかもしれない(=コーヒーの輸入により貿易赤字が膨らむので、アメリカ人はコカコーラをファーストに飲め、と。なお、アメリカはコーヒーの生産トン数は世界で49位、消費量では2位である。日本の消費量は4位である[2014年]。)