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【所長日記】美味しい雪見酒、鶏冠(とさか)屋根の雪おろし

練馬まちづくりセンター所長小場瀬令二 練馬まちづくりセンター所長 小場瀬令二 2014.2.19

―敷地境界からの5mセットバックが常識の天気―

 久々の大雪が東京に来襲。日頃地球全体が温暖化していると思い込んで、今年の冬も雪無だと勝手に思い込んでいたが、どっこいそうはいかないようだ。地球温暖化で北極の氷が解けるとむしろ日本には寒波が来襲しやすいそうだ。死人が出たり、何日も車の中に閉じ込められてり、取り残された集落が出るということになると、気象庁のように「今回の大雪は想定外でした」と呑気なことも言っていられない。
 写真1はまちづくりセンターが入居しているビル前の雪景色の景観である。雪が降ると日本のまちの景観も一変する。屋根が真っ白、道路が真っ白、通りの人と車もまばら、歩車の別が無くなり道路も広々とした感じ、いつもはドギツイ看板も降る雪でくすんだ色となり、木々も雪で白い綿帽子をつけている。混乱を極める日本のまちの景観整備のヒントがこの中にあるのかもしれない。

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写真1:まちづくりセンターの入居しているビルの前の通りの雪景色

 このように雪見を暖かい空間の中で優雅に楽しんでいる分には良いが、雪下ろしや雪かきをする段になると、大変だ。今回の雪で、雪かきをほんの少ししただけで早速腰が痛くなった。雪国の方々はどんなにか苦労していらっしゃるだろうか。そこで雪国の屋根からの雪おろしの工夫を見てみよう。

 雪国の戸建ての建物ではまずは屋根の雪をどのように取り除くかが問題になる。屋根に積もった雪は滑り落してしまえば一番簡単そうである。北海道札幌の時計台の建物を見ればわかるように、急傾斜の三角屋根にすればよいのかと単純に思いがちである。実際北海道ではこの三角屋根の建物は多い。しかし日本海側の豪雪地帯の建物は案外この三角屋根の建物は少ない。毎年雪下ろしのために死人が出たりしていることからすると、この雪が滑り落ちる三角屋根の建物があってもしかるべきだと思うのだが、何か理由があると睨んだ。
その理由は、どうも雪の性質の違いのようである。北海道の雪はサラサラで、三角屋根に積もっても、滑り落ちるのだが、日本海側の豪雪地帯に降る雪は「べた雪」で、三角屋根でも滑り落ちないのだ。そこで高齢者でも屋根に上って重労働で危険な雪下ろしをしなければならない。図で見るように、三角形の屋根でも左右の屋根に積もった雪はお互いに凍って一体化され、滑り落ちないのである。
しかし、必要は発明の母である。「べた雪」でも雪が滑り落ちる仕組みを考えた人がいたのである!!「べた雪」が三角屋根に乗っているとなぜ滑り落ちないのかを研究して、左右の傾斜屋根の雪を切り分ければよいということで、屋根の一番高い部分に鶏冠(トサカ)のような「雪割り板」を取り付けて、これによって左右の雪を割れば、べた雪でも三角屋根ならば滑り落ちるのだ。「何と素晴らしい!!」

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図1:屋根の上で左右一体化した雪を切り分けるのがポイント

 しかし雪国の人々の苦労はまだ続く。屋根から落とす雪をどこに落とすか、またその雪で建物が雪に埋もれてしまわないかが次に問題になる。屋根から雪を落とすには十分な敷地が必要である。また落ちた雪で建物が埋没しないように、このような建物は1階をコンクリートピロティ―にする。その1階を倉庫や駐車場にして、2階3階を建物の用途に利用するのだ(写真2参照)。

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写真2:新潟地方にある鶏冠(トサカ)住宅

雪国では、屋根の高さと雪を落とすスペースのための敷地境界までの距離に関して内規をあるようで、例えば2階の屋根からの雪だと5m程度の幅の空閑スペースが必要のようだ。
 
 その内、練馬でも毎年記録的な雪が頻繁に降り、富士山を見ながら雪見酒を楽しめる風流生活を楽しめるかもしれない。しかし、敷地境界から建物を50㎝しかセットバックしていない建物が多い練馬だが、「敷地境界から5mセットバックしなければならない」という規制を決めなければならないほどの天気が普通になるかもしれない。(図版は葛飾北斎が描いた『冨嶽三十六景 礫川 雪ノ旦』、礫川とは小石川のこと。雪はせいぜい5㎝程度しか積もっていない。)

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図2:葛飾北斎が描いた『冨嶽三十六景 礫川 雪ノ旦』


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