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ロサンゼルス市の緑陰計画

 みどりのまちづくりセンター所長 浅海 2021.9.14

 2021年7月号のナショナルジオグラフィックに掲載された"A Shady Divide"という記事に目を引かれました。雑誌中ほどの見開きページの左右にロサンゼルス市の2つの住宅地の航空写真が並んでいて、片方は樹木が多く緑陰豊かなエリア、片方はほとんど樹木がないエリアで、その風景のコントラストがとても際立っていたのです。

 みどりが多いエリアは富裕層が暮らしている住宅地で、もう一方は低所得者層の多い住宅地の写真でした。このような違いが生まれた背景には、アメリカ都市政策の歴史において植樹などの公共投資にエリア格差があったことや、樹木の維持管理コストを賄えるための経済格差が居住住民にあることなどが挙げられていました。そしてここからがこの記事の主題なのですが、地球温暖化で気温上昇が進む中で、樹木による緑陰提供が都市課題として認識されるようになり、ロサンゼルス市は植樹を全市的に進める施策を始めているそうです。市としては、2021年までに9万本の新たな植樹を行い、2028年までにこれまでみどりが乏しかったエリアで緑陰50%増の目標を立てているそうです。

 植栽は四季を彩り美しい景観をつくることに焦点があてられがちですが、樹木はそれ以外にも多様な機能を有しています。身近な微気象をコントロールする機能、温室効果ガスである二酸化炭素を固定する機能、火災時には延焼を食い止める機能、多様な生き物の生息環境を提供する機能、そしてシンボルツリーや街道並木などはまちの歴史文化の象徴的存在にもなっています。草地も同様に、温暖化防止や水土保全、生物多様性などの環境保全機能を有しています。

 このようなみどりの多機能をトータルに認識し、都市環境を整える必要不可欠な要素として積極的に取り入れ活かしていこうという考え方は「グリーンインフラ(みどりの都市基盤)」と呼ばれ、近年よく使われる施策用語になりました。東京には約100万本の街路樹が植えられているそうです。練馬区は23区で最もみどりに覆われた面積の多いまちです。これらのみどりを我々の暮らしを安全かつ快適にするために活かす工夫は、今後ますます重要になっていきそうです。


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